〈カビコラム2〉カビって どんな生き物?

カビは古来より存在し、多種多様の形態で生き延びてきました。身近なものでいうと、醤油やチーズ、キノコのように食品に対して活躍する種、医薬品に対して活躍をする種など、多くのものは人と共存しています。
とにかく数え切れないほど多くの種類がいますが、いわゆる「カビ」とは、どんな生き物なのでしょうか?

◆微生物としての分類
まず、カビは「微生物」に分類されます。微生物は、大きく3つに分けられます(図参照)。①細胞の造りが動物や植物と同じ真核生物。細胞のなかにDNAを含む核を持ち、その他の器官も持ち合わせています。②原核生物、核が存在せずDNAが裸で存在している(細菌などが含まれる)。③非細胞性、ウイルスなどが含まれます。

カビは①の真核生物のなかで、「真菌(しんきん)」と呼ばれ、他の器官を持ち合わせ、代謝などの機能を持ち合わせていることから高等微生物とも呼ばれています。
カビの生存域は広く、酸素、湿度、温度、pHといった要素が自分好みにそろうと、激しく発育します。
「カビ」で思い浮かべるのは、浴室や窓際、北側の外壁などに見られる黒カビや青カビ、ピンク色などの綿網状の付着物のカビでカビ洗浄の対象となるものです。一般に、こうした目で確認できるものを「カビ」と呼んでいるように思います。


室内石膏ボードに繁殖したカビ。マットのようにコロニーを作り出しています

このような私たちがよく目にするカビは、真菌の中でも「菌糸状真菌(糸状菌)」といわれる種で、キノコもその仲間です。そのほか、目では確認できませんが、人のからだに常在する種もある「酵母状真菌」と呼ばれる酵母もカビの仲間です。
間違いやすいのがコケです。コケはカビやキノコの仲間のように思われますが、微生物ではなく、立派な植物です。カビとはまったく異なる存在ですので、対策には別の方法が必要になります。

◆カビは意外と厄介な生き物
爆発的な繁殖力を持つ細菌と比べ、カビの発育は比較的遅く、爆発的な感染症を引き起こすことはほとんどありません。しかし、細菌類にはない抵抗力を持ち合わせていることから、完全に根絶しないとすぐに再発し増殖してしまうという、非常に厄介な性質を持っています。
また、カビの中には人体に入り込むと害を及ぼす種類も存在します。健康な人なら抵抗力によって重症化は防げますが、闘病中や過労で抵抗力が落ちている場合、猛威を振るうことがあります。まれに死に至るケースもありますので注意が必要です。
このように意外と厄介な生き物であるカビを、生育のメカニズムから知ることにより、各環境においての対処方法を見つけられるかもしれません。カビ洗浄にも専門的な知識が必要となります。