〈カビコラム4〉カビはどこで育つ① 室内の死角に生息するカビ

カビはあらゆる場所に存在し、梅雨の時期になると、メディアなどでは健康被害を喚起しながら、カビに関するトピックスが取り上げられます。ただ、冬になると突然、特集はされなくなります。気温が下がり、湿気も少なくなるため、カビの流行が落ち着いたという印象があるからでしょう。一昔前とは異なり、現在では一年中カビの懸念が残っています。大きな理由は、やはり建築様式と生活環境の変化と言えるでしょう。
室内においては、気密性の高い住宅で、温度と湿度が保たれ、カビにとっては最高の生活空間になります。なかには過剰な加湿により必要以上の湿気を帯びている箇所もあるはずです。注目はしていないものの、カビはそんな場所でじっくりと時間をかけて生育しているのです。

◆室内の死角①……家具の裏側、寝具の下側
室内では、目には映っていない死角にカビが潜んでいます。普段手が入らない家具の裏側やベッド、ソファなどの下の隙間など、空気の流れが起きづらい場所は注意が必要です(写真1)。
 カビには多種多様の種類が見られますが、毛カビと言われるムコール属などは、ほこりと見間違えてしまうこともあります。長期間吸い込むことで、人体にも影響を及ぼしたり、肺や鼻腔に入り込んで疾患をもたらすこともあります。日々の清掃はもちろん、空気の通り道を設けるなどの対処やこまめなカビ洗浄もカビの繁殖を抑える対策の一つと言えるでしょう。

◆室内の死角②……エアコン内部
 自分では清掃できないことから放置されがちなエアコンですが、常時空気を冷やしたり、温めたりすることから温度差が生じ、エアコン内部は結露が発生します。そのことから、湿気を多く含む環境下はカビの好適な環境になります(写真2)。
例えば、天井吊りタイプの業務用エアコンでは、送風口の周りが茶色く色づいているのをよく目にするかと思います。ここには、クラドスポリウム族ワレミア族という●●●●菌が多く検出され、●●●●に影響をもたらします。
一般家庭でも多くの種類のカビが発生しますが、注意が必要なのはトリコスポロン族という酵母型真菌です。近年では、メディアでも取り上げ始められた夏型過敏性肺炎を引き起こすとも言われています。家や職場に入るとなぜか咳が止まらない、ハウスダストのアレルギーかな? などと感じている人のなかには、実はこのトリコスポロンの影響を受けている人もいるかもしれません。専門的なカビ対策を進めましょう。

生活のなかで、長い時間を過ごす室内では、正しい換気方法やレイアウトづくりという環境整備を進めながら、日常・定期的な清掃・カビ洗浄を怠らないようにしなければなりません。