〈カビコラム1〉間違えている? 汚れの正体

ビルメンテナンスの洗浄業務において、「どんな汚れをどのようにして除去するのか?」
というメカニズムを考える人は、いったいどれだけいるでしょうか。
プロと言われる職人は、隅々までムラなく拭き上げる技術、あるいは機械を使いこなす技術は卓越していますが、付着している汚れそのものが何なのかを、疑問に持つ人は少ないようです。
今回は、この汚れの誤認識により発生している洗浄の不具合に焦点を当ててみたいと思います。

◆じつはカビだった!
洗浄作業のあらゆるシーンにおいて、「一部分だけなぜか落ちない」「1フロアだけ汚れの落ち方が悪い」などということを経験したことはないでしょうか。
「なんだか落ちづらい汚れがついてるな」「シミになってるな」などと、汚れの判明をしないまま、あきらめてしまっているのではないでしょうか。
こんなとき、見落とされやすい汚れの正体が、じつは「カビ」です。
浴室や雨掛かりする北側の壁面などは、カビが生息することは想像しやすいですが、じつは他にもあらゆる場所にカビが生息しているにもかかわらず、認識されていないのです。
カビ対策は物理的な作用では除去することは難しく、洗剤も選定を間違えると落とすことができないうえに、早期に生育させてしまい、トラブルの元にもなりえるのです。

◆アルカリや酸性の洗浄剤は逆効果?
写真は長尺塩ビシートなどで多く見受けられる例です。
塩ビシートは通常、アルカリ性洗浄剤でポリッシャーを使用して洗浄します。しかしアルカリ性洗浄剤は、油分の分解は得意ですが、カビ洗浄への効果は期待できません。
では酸性洗浄剤はどうかというと、カビへの効果は同じく期待できず、逆にシート自体を痛めてしまうことにもなりかねません。
おそらく現状は、ポリッシャーの物理力でカビを落とせるだけ落としている状態であるため、先にも触れたとおり、「シミや強い汚れと誤認識するもの」が残ってしまうのです。
この残ったカビの汚れを、さらに能力を高めた物理力や薬剤などを使って落とそうとすると、後戻りのできない「劣化」を引き起こしてしまうことがあります。
洗浄のメンテナンスにおいては、汚れに対する認識を改め、「カビにはカビ洗浄に対する作業方法」を行うことで、躯体を痛めることなく、新品同様の美観を回復することができます。
汚れに見合ったメンテナンス方法、それが鉄則です。

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