〈カビコラム14〉カビを食べる虫、 カビを広げる虫

◆チャタテムシとカビの関係

梅雨という季節は、食品を取り扱う工場などを中心に 一番カビに悩まされる時期です。気温と湿度が上がることで、カビにとっては好適な環境が揃い、大量に増殖。はじめは小さかったカビの被害があっという間に広がり、手に負えなくなる事業場も多く見受けられます。

そんななか、虫の被害も増え始めます。春から夏にかけては、虫も活動的になりますが、〝湿度があり暖かい〟という、まさにカビと同じ環境を好む「チャタテムシ」などがこの時期には大量発生します。製造工場などでは製品内に入り込む恐れもあり、甚大な被害を被る可能性もあります。

 

(東京都福祉保健局より引用)

 

チャタテムシは、約1mm 程度の大きさで、目視により確認することができます。日本にも多くの種類が存在しており、実は多く目にしている可能性がある虫です。一般住宅などの環境では、ふけや垢などを餌にし、食品取り扱い施設では、粉物や残渣なども餌にして生息しています。

また、同じ環境を好むカビも大好物です。チャタテムシを発見するとカビの繁殖を疑い、対応を考えるためのサインにもなります。

搬入の際に事業場内に入り込むことが多く、段ボールやパレットに付着しているのを確認できることもあります。事業場内に侵入したあとは、湿度があり暗く温かい場所を好むため、積み上げられた段ボールなどは注意が必要です。他には、湿度があり温かい場所として、空調機器の加湿のモジュールなどに大量に潜んでいるケースなどもあります。

◆日頃の環境整備が重要

一般家庭でも起こり得ることですが、ツメダニなどの種が、チャタテムシを捕食することが確認されています。つまり、チャタテムシ以外の繁殖も考え、対処する必要があります。これらは、アレルギーを引き起こす可能性もあるため、繁殖をいち早く抑えることが重要となります。

チャタテムシは、カビを食べながら事業場内を動き回り、体に付着したカビを広げてしまう恐れもあります。 有効的な手段は、まずは虫を持ち込まないこと。餌となるカビを除去すること。増殖しない環境(湿度と温度) を保つこと。また、餌となる食品粉や残渣を残さず清潔に保つことです。広がり始めると発生源の特定が困難になります。早めの対応が推奨されます。