〈カビコラム19〉汚れに合わせた清掃方法② −洗浄の効率化−

清掃/洗浄の手法の改善

食品取扱施設などで洗浄を行っていく際に、管理者と施工者で「異物(菌)を育てない清掃をする」という目的を共有することが先決です。

そして、その次に考えるのがその手法についてになります。

食品取扱施設には多くの機械設備が設けられ、また素材もさまざまであり、簡潔に高度な洗浄が行うことのできる現場は少ないと実感できます。

日常行われる洗浄は、食品衛生には欠かすことのできないファクターであり、また改善しながら進化させていくことができるものと考えます。

◆建材の特性

食品取扱施設では、天井、壁面、床など使用目的に合わせて適正な建材が使用されています。

しかし、事業場によっては不向きな建材が使用されてしまっていたり、建材が経年劣化を起こしてしまっている場所もあります。

例えば、抗菌性や洗浄性を高めるため、コーティングや塗装仕様などを施すこともありますが、経年劣化が起きていると、通常の洗浄方法では汚れが除去しきれず、清浄度が想定したレベルに到達しないことがあります。

このような場合は、早期の修復や洗浄方法の見直しを検討すべきです。

また、洗浄によって建材を傷めてしまっては元も子もありません。

「洗剤や手洗い(施工)がその建材にどのような影響を与えるか?」
つまり、建材の特性を知ることは、適正な洗浄方法を見出すためにも必要不可欠です。

◆汚れの想定と洗剤の選定

日常行われる洗浄作業に不可欠なのは、汚れが何かを見分けることです。

使用する洗剤には必ず特性があり、その特性と汚れの種類が見合っていなければ、洗剤本来の効果が発揮できない可能性があります。

例えば、部分的に重度の油汚れが付着する場所などに、中性洗剤や弱アルカリ洗剤を使用していては、太刀打ちできません。

中には、中程度の汚れを除去する弱アルカリ性の洗剤を泡状でつけ置きし、高圧洗浄をしてみたり、ブラッシングをしてみたりというケースもあります。

しかし根本的に、汚れに対して「洗剤」と「作業方法」が見合っていなければ、続けていても労力の割に成果が見られず、目で確認できるほどの除去が困難な重度の汚れになってしまう恐れもあります。

他にも、常温では硬化してしまうタンパク質の汚れが付着する場所で温水洗浄を実施している現場がありましたが、これでは除去に時間がかかってしまいます。

使用場所が同じでも、付着している汚れが変化したときに対応できないケースも多いようです。

現場で取り扱う製品が変わる際には、まず最初の段階で付着する汚れを想定し、これまでと同じ洗浄方法で良いのかどうかを検討した上で作業に入らなければなりません。

適正な洗剤の選択と作業方法の見直しがその都度必要です。

さらに、日頃使用しているブラシなどのツールの使用頻度の見直しも適宜行われれば、作業による異物混入のリスクも下がります。

適正な洗浄方法を見出して作業を無駄なくスリム化できれば、人手を減らすことも可能になるでしょう。

作業を効率化しリスク低減できるよう、作業現場を日々見直してみてください。