〈カビコラム23〉カビの現状を知る定期的な現場調査

理想的なカビ対策の在り方とは?

現在、広く行われている一般的なカビ対策は
“カビに侵された見た目を一度元に戻す”
ことで完了する、言わば対症療法的なものがほとんどだと感じられます。

カビは空中のどこにでも飛んでいます。

そのため、一度の対処と殺菌効果が不十分であればなおさら、すぐに再発してしまう恐れがあります。

理想的なカビ対策の在り方として、定期的な現場調査の重要性について解説していきたいと思います。

  対症療法的なカビ対策

●建物内でカビの繁殖を目視で確認する(美観が損なわれる)
●長い間カビが放置され、臭気の異常を感じる(いわゆる”カビ臭さ”を感じる)
●身体的な苦痛を感じる / 健康被害が生じる

このような状態・状況に直面してから、カビ対策やカビ除去の必要性を感じ、対策を決心する人が多いのが現状です。

このような状況下で寄せられるのは
「どうにかして早くこの現状を改善したい」
というご依頼になってしまうため、カビ対策・カビ洗浄が「美観を元に戻す」ことなど、対症療法的な施工が一般化しているように感じます。

しかし、対症療法的な施工では、本質的な問題解決が見込みづらく、カビの早期再発の危険性を多分に孕んでいます。

カビの対応には、施工する業者はもちろん、消費者(依頼主)もカビに対しての理解を持ち、長い目で見た対策が必要と考えます。

理想的なカビ対策は、建物に見合ったメンテナンス方法を選定し、根本からカビを除去することにより、衛生環境を維持することです。

◆ 定期観察の重要性と注意点

衛生環境を維持していくにはカビ除去作業を行ったあとの経過を観察することが重要です。

観察する際の注意点の1つ目が、カビの生育速度です。

施工時に根本から除去できている場合は、従来よりも再発期間を延ばすことができますが、定期的に訪問する際には再発の有無の確認と、万が一、再発がある場合にどのような箇所から始まっているのかを観測します。

再発頻度を把握することで、適した頻度の定期的なカビ除去を計画することができます。

2つ目は、温度や湿度の変化です。

四季を通じて、温度と湿度にどれほどの変化があるのかを把握することで、カビが再発する危険性を早期に発見することができます。

例えば、夏場には発見できなかったものの、寒い時期になると建物内の結露を引き起こす場所でカビが現れたりという事例も存在します。

その逆もしかりで、室内をエアコンで冷やすことで、外気に触れる部分に結露が発生することもあります。

温度差が何かしらのトラブルの原因となっている可能性もあります。
※画像:施工事例-千葉県 スーパーマーケット

また、建物構造や給排気などの設備に問題が見つかることもあり、長い目で建物を管理していくには少し大掛かりになりますが、根本的な改装や設備改善も考えなくてはいけないかもしれません。

◆ 定期的な現場調査の重要性

大量に発生したカビの対策をするには、対症療法的な施工だけでなく、長い目で見ていくことも必要です。

また、事業場であれば必ず、そこにコストの算出が必要になります。

定期的な調査は、衛生環境を維持するためのカビ除去の必要時期(実施頻度)や建築・設備の改修時期を見極めたり、またそのための予算構築の材料にもなります。

衛生環境の維持と、そのためのメンテナンス方法(施工法・施工頻度など)の最適化のためにも定期的な現場調査を実施されてみてはいかかでしょうか。