〈カビコラム24〉地域によって異なるカビの生え方

カビが生えやすい地域

日々、カビ対策を行っていると、
「次にいつカビは生えるの?」
と、お客様から問われることがあります。

建物の立地条件によって、カビの増殖のリスクは大きく異なります。

例えば、山間部・平野部・盆地など、地域や地形によっても違いがあり、また、一つの建物でも方角や日当たり、天候、部屋の使用状況、そして建物の様式によってもカビの増殖リスクが異なります。

このように、総合的な判断でカビの発生を予測していかなければいけないため、精度の高い予測は非常に困難だと考えられます。

その中でも、比較的にカビ増殖のリスクが高い地域があります。

それが「山間部」です。

最近では、自然豊かな環境下で過ごす人が増えてきていますが、自然の中に建物を建てることはカビの被害も受けやすいということです。

今回は、地域によって異なるカビ増殖のリスクと、その対策方法について解説いたします。

◆ 山間部はカビが生えやすい

地域による例として、山間部の建物はカビの被害に悩まれる方が多いのが実状です。

カビはもともと、土中に生息している菌類です。

舗装が行われておらず、地面が近いという建物の条件は、菌類が大量に生息しているところと密接になることを意味します。

また、雨のあと地面や樹木から水分が蒸発し、霧が発生することで湿度も高まります。

これだけ条件が揃えば、春から秋にかけて温度が高くなる季節は、カビの増殖は避けられないと考えるほうがいいでしょう。

外壁や水回りに生えてくることも注意が必要ですが、厄介な事例では家屋内に大量に発生してしまい、クローゼットの衣服や、家具にまで発生してしまうケースもあります。

気づいたときに手遅れにならないよう、山間部など自然の中で生活する場合は、カビ対策をこまめに行う必要があります。

◆ 日課にすると良い対策とは?

現在、山間部に立地する建物には、建材に対して防カビ処理が行われていたり、調湿機能を持った内装材が使用されていたりと工夫が進んでいます。

しかし、それでも家屋の使用方法により発生が抑えられないことがあります。

そのため、次のことを日課にすると良いでしょう。

❶ 湿度を下げることを日課に

水回りの使用後は、しっかりと水を切り換気を行い、湿度を下げましょう。

室内の空気循環設備がない場合は、まず換気を怠らないことが大切です。

元々高い湿度が予想される地域では、湿度だまりをなくすために風通しを良くすることがカビ対策に効果的です。

正しい換気方法について

浴室や脱衣場、トイレなどの水回りは、24時間換気を推奨しています。

リビングや寝室などの居住空間では、ドアを開け空気の通り道を作った上で、窓を5〜10㎝程度開け5分程度の換気を1時間に2回行うのが理想です。
窓を大きく開け、長時間換気を行うと、外気中のカビ菌(胞子)を室内にたくさん取り込んでしまいます。

窓がない部屋では、サーキュレーターや扇風機を使って空気を循環させ、極力湿度だまりが生じないように対策を行いましょう。

❷ 清掃を怠らない

温度と湿度が好適なこの地域では、カビの栄養源を断つための日々の清掃がとても大切になってきます。

カビはホコリや塵、人間の皮脂や髪の毛なども栄養源とするため、これを断つために頻繁に清掃をすることが好ましいでしょう。

また、清掃後にはしっかり除菌を行うことで、菌であるカビの発生を抑制する効果が高まります。

★ カビの栄養源

●天然・人工問わず、建築材に含まれる有機物
●ホコリや塵 / 食べ物のカス / ダニ・バクテリアの死骸動物 / 昆虫の排泄物 etc…
●人間の老廃物(分泌物):垢・手垢 /フケ / 汗 / 皮脂 / 髪の毛 /排泄物 etc…
●水回りの汚れ:水垢 / 石鹸カス / 皮脂汚れ / 湯垢 / シャンプーの泡 etc…

◆ カビによる被害が出る前に

山間部にある建物は、別荘などの利用目的で構えるケースが多いため、頻繁に赴くことがありません。

必然的に清掃や換気が不十分となり、予想以上にカビに犯されてしまうケースがあります。

大量に発生してしまうと、カビ発生箇所の特定が困難になり、さらに特有の臭気は気分を害すほどの場合もあります。

菌種によっては健康被害を及ぼすものもあるため、豊かな自然の中で生活するには、適正なカビ対策を行いながら上手に共存することが望ましいと考えます。