〈カビコラム34〉冬場のカビとその対策方法

冬であってもカビには注意が必要

カビは、梅雨から夏の時期にかけてよく見かけるため、冬場はカビを気にする必要がないと認識している人もいるかもしれません。

しかし、近年では住環境の変化(高気密住宅)や加湿器の普及等々によって、冬ならではのカビの被害に悩まされるケースが存在しています。

今回はそんな冬場のカビ問題について解説していきたいと思います。

◆結露からはびこるカビ

冬時期に空気が乾燥することにより、眼や喉に違和感、不調をきたすことがあります。
インフルエンザや新型コロナウイルスなどの感染対策として、加湿器もしくは加湿機能を持ち合わせた空気清浄機を利用されるケースがあると思います。

湿度を保つことができる一方で、過度な加湿や湿気だまりの発生によりカビに悩まされるケースが多く見受けられます。

特に、冬場の悩みの種といえば、窓周りに発生するカビではないでしょうか。
低い外気に触れた窓ガラスは、室内の暖かい空気に触れることで結露を起こし、ひどいときはビショビショになるほど水滴が発生することもあります。

水滴を拭き取るなどの処理を怠ると、窓周りのコーキングやパッキンがカビに侵されてしまうことがあります。
また、これをさらに長い間放置すると、カビの持つ色素が移り、除去することが難しくなります。

また、発生したカビがカーテンや家具、また壁紙などに飛散してしまうこともあります。

デリケートな素材や高価なものもあるため、十分にケアしておきたいところです。

対策としては、まずは小まめな換を推奨しています。
窓を5〜10㎝程度開け、5分程度の換気を1時間に2回行うのがおすすめです。
※窓を大きく開きすぎたり、開放時間が長すぎると、室温が大きく低下したり、室内に外気中のカビ菌をたくさん取り込んでしまいます。

次に過剰な加湿は避け、サーキュレーターなどを併用し、空気を動かし窓際や部屋の隅に湿気だまりができないよう対策すると良いでしょう。
また、カビの栄養源となるチリやホコリなどの汚れを除去しておくことも、有効なカビ対策になります。

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[その他の結露対策術]
●冷暖房の使い方に気をつける
頻繁に冷暖房を付けたり消したりすると、室温が大きく変動し、結露の原因となります。また、部屋全体の温度が均一になるように使用することもポイントです。

●観葉植物は窓の近くに置かない
植物は水を蒸散するため、湿度を上げてしまうことがあります。

●洗濯物は外で干す
室内干しをすると、室内の湿度を高めてしまうので、極力外で乾燥させるようにしましょう。

●調理中は換気扇をつける
調理中は水蒸気がたくさん発生するので、換気扇を回し、鍋には蓋をしたりするなどで対策しましょう。

◆加湿器に思わぬ落とし穴

次に気をつけたいのが、加湿器自体の手入れです。

近年では、加湿器への注意事項も多く見受けられますが、蒸気式ではなく微小な液体であるエアロゾルを放出するタイプの加湿器では、使用水がそのまま部屋中に拡散されます。

そのため、排出する機械自体の手入れがきちんとされていなければ、加湿器肺炎と言われる加湿器由来の過敏性肺炎になる可能性があります。

原因の多くは、加湿器の清掃不良によりタンク内に増殖したレジオネラなどの細菌や、環境中に多く見られる真菌であると考えられています。

エアロゾルと一緒に菌が放出され、体内に取り込んでしまい発症すると言われています。

多くの真菌症同様に、免疫力が低下しているときに猛威を振るう傾向があるため、闘病中や高齢者のいる環境下では特に注意が必要です。

小型の家庭用加湿器などは、タンクに残っている水を毎日のように交換し、清掃することも忘れてはいけません。
また、精製水やミネラルウォーターなどを使用される方もいるかもしれませんが、水道水が好ましいです。(お湯などの使用も避けてください。)

水道水は塩素処理されているため、タンク内での菌の繁殖を抑制できると判断されています。
小まめな清掃と水の交換、使用する水に気をつける等々、菌が増殖する条件をできるだけ減らしておきましょう。

冬場だからといってカビが増殖しないと安心せず、使用する加湿器のお手入れを習慣化することが肝要です。