〈カビコラム35〉介護施設内で放置してはいけないカビ①
放置されるカビ
現在、介護施設における人手不足の問題が深刻化しており、今後もさらに深刻になってくると予想されます。
労力が足らない中で清掃や除菌に精度を求めるのは非常に難しく、どうしても後回しにされてしまう傾向がある様です。
今回からは衛生意識が低下してくると放置されがちな介護施設で出会ったカビの被害を紹介していきます。
◆目に見えない床の真菌
まず注目すべきは、真菌症の中で非常に多く発生する「白癬」です。
一般的に「水虫」と言われ、水ぶくれができたり、白くふやけた症状となったりという症状が有名ですが、他にも皮膚がガサつき剥がれ落ちる症状や爪などに発生するケースも存在します。
痒みを伴うケースが想像できますが、中には痒みを伴わないケースも存在し気付かずに放置してしまうこともあります。
水虫は放っておくと重症化し、歩くこともままならなくなることがあります。
高齢者にとっては歩きにくさが原因で転倒事故などにつながりかねません。
医師の診断を受け早めに治療を開始することが重要です。
<発症までの流れ>
常在している白癬菌が好みの環境である【湿度70%以上、温度15℃以上】になると活発になり増殖することで、皮膚上に症状が現れます。
例えば、濡れた靴を長時間履き続けてしまった場合、菌が増殖している可能性があるため、靴を脱いだ際は足を洗い清潔にすることが望ましいでしょう。
また角質に潜んでいる可能性もあるため、特に梅雨時期の湿度の高い季節は、室内の床やバスマットなどを媒介して感染を広めてしまうことがあるため注意が必要です。
床やマットなどは小まめに清掃を行い、常に清潔にしておくことが予防につながります。
◆天井裏・壁裏のカビ
施設内の天井や壁には多くの設備が取り付けられています。
各部屋や共用部にあたる廊下などの天井には、エアコンや照明器具等が埋め込まれているのをよく見かけます。
このような埋め込み式の設備と天井または壁の隙間などからカビが見受けられる場合は、一度天井内部などを確認する方が良いでしょう。
空調設備稼働時には温度差が生じやすく、これが結露発生の原因となることがあります。
天井内部の設備本体以外のそれに付随する配管なども、断熱性能が及ばない場合や湿度が高い季節には、想像以上にカビが増殖してしまうことがあります。
内部の設備や天井材は破損の危険があるため、簡易的なカビの処理は行うことができず、更に完全に除去するのが難しいため、専門家を頼ることが必要となります。
隙間から発生したカビは、室内に飛散し、更なるカビ被害を生み出すリスクがあります。
[※施工事例URL:埼玉県 老健施設 カビ除去洗浄]
また、飛散したカビを吸い込むことでアレルギー症状や肺疾患などを引き起こすこともあるため、日々清掃を行う中でこの様な隙間にカビが発生していないかを注視し早期に対応手段を検討する必要があります。