〈カビコラム37〉外壁に蔓延るカビ①その要因について

外壁のカビの要因

建物の外壁やエクステリア周りのカビは、室内のカビと比べると、衛生的な観点であまり気にされない事業場の方もいます。

恐らく、外壁のカビが及ぼす悪影響があまり認知されていないことが原因になっていると考えます。

今回から、外壁にカビが生える要因と、実際にあったトラブル懸念されるリスクをご紹介していきます。

◆油分を含む汚れがカビの要因?

外壁の美観は、以下の様な要因によって損なわれています。

▲煤煙や自動車から発生する排出ガスなどの影響を受けて付着するもの
▲外壁のパネルやタイル、サッシ周りに使用されるコーキングから発生する汚れ

いずれも、多くが外壁を覆い、ヌメりやベトつきを伴うこともある油分が含まれる汚れです。

油分を含む汚れは、雨が降っても完全に流れることはなく、日常的に徐々に付着してしまうものでもあります。

都心部などの交通量の多い道路の周りの建物は、道路面だけこの汚れが目立ってしまうこともあります。
製造工場や、食品を取り扱う施設となると、排気フードから排出される油煙によって部分的に汚れてくる事例なども存在します。

油分が含まれた汚れが付着すると、空気中のほこりや塵が付着しやすくなることから、美観をおかす要因にもなることと、同時にカビの生育に必要な栄養源になってしまいます。

中には、外壁素材の撥水性能を失い、湿気を保有してしまうことから、カビにとって好適な環境をつくる要因にもなってしまいます。

◆建材とカビの相性

次に、外壁に使用される建材や表面の仕上げによってもカビや汚れの発生する要因が異なります。

建材には空気中の湿気を「取り込みやすいもの」と「取り込みづらいもの」、また「アルカリ性のもの」と「酸性のもの」があります。

カビはアルカリ性よりも酸性の領域を好みます。

逆を言えば、この環境(酸性)を作らなければカビは発生しづらくなるということです。

木材などは吸水性が高く、常に水分を含有し、さらにカビが好む弱酸性の性質を持ちます。

無垢のままで使用していると、カビにおかされ腐敗していきます。

そのため、外部に利用される場合の木材の多くが、塗装やコーティングのような仕上げ剤が施されています。

次に、コンクリートや塗り壁、土壁、漆喰、タイル、石材は、吸水性の高い部材ですが、強アルカリの性質のため、実はカビが苦手な建材です。

しかし、この材質の多くの建物でカビが生えているのを見かけませんか?

※施工事例URL:神奈川県 工場(外壁塗装面のカビ)

これは、日焼けや酸性雨による建材の劣化と、冒頭で述べた油分を含む汚れの付着を放置してしまうことが大きく要因に関わっていると考えられます。

新築当初は、防汚性能に長けていた建材でも、経年によって表面はおかされていきます。

塗装仕上げの建材では、撥水性能が保たれているかどうかが一つの目安となります。

この機能が低下してくると、カビは気づかぬ間に増殖し、長期間放置すると、外壁表面のひび割れなどの隙間から塗膜内部まで広がり、補修も大がかりになる場合があります。

部分的な補修では見た目が悪く、多くの場合、全面的な塗装の塗り直しを施す形になります。

建材によって薬剤耐性も異なるため、このように大がかりな補修が必要になる前に、建材に適したメンテナンスを早期に実施していくことが長期的な建材の維持につながります。