〈カビコラム6〉カビはどこで育つ ② 水まわりで目につくカビ

今回は、水まわりに生息するカビに焦点を当てます。

住居の中で、カビに悩まされる一番の場所は、やはり浴室と言えるでしょう。常に水を使用し、北側や窓のない中央に位置する間取りも多いため、湿気がこもり、カビにとっては、まさに天国のような空間になります。

 カビを発見後、放っておくと、みるみる増えていき、ふと気づいたときにはカビだらけになっていることがあります。これは温度、湿度ともに環境が適しているため、一度付着すると、生育するのも早いのです。

 

◆水まわりで目につくカビ:その原因
 水まわりで特に多く見受けられるのがクラドスポリウム属(いわゆる黒カビ)で、生育すると黒色を呈します。それとぺニシリウム属(いわゆる青カビ)という、青い色のカビも多くみられます。どちらも室内外に広く分布し、空気中で検出されるカビのなかでも、特に多い種になるため、外部から侵入するといち早く生育し、目に留まる存在になります。放置すると範囲を広げ、濃い色を付けることで、美観を損なう原因になり、また、アレルギーなどの原因にもなることから、衛生面を考えると対策を行う事が必要と考えられます。
 浴室内の壁や天井に広がる現象の原因は、大きく分けて3つあります。
❶先にも触れたように温度、湿度がカビの好みのため、一気に増殖し、一部分から飛散し範囲を広げる。
❷外部からのカビの飛散を受け、実は若いカビがすでに全体に生息しており、経日的にゆっくりと生育する。
❸換気方法に誤りがあり、どんどん新しいカビを取り入れて、そのカビが生育する。

 

◆水まわりで目につくカビ:その対策
 できるだけカビのいない環境を守るには、日々の手入れと換気がとても重要です。
【その1:清掃】
まずは日々の清掃をしっかり行うことです。浴室全体を清掃し、皮脂や石鹸カスというカビにとっての栄養源になるものを除去します。ここで注意が必要な場所は、カランや足元まわり、目地などの目につきづらく、清掃のしづらい部分です。清掃が不十分だとそこにカビが付着し、コーキングやパッキンなどに長く生息すると、カビの色素が素材に移り、除去が困難またはできない状態になってしまいます。回復するにはコーキングの打ち直しやパッキンの交換といった工事が必要になることもあります。
【その2:換気】
もう一つ重要なのは、日々の湿気対策です。入浴後はできるだけ水分を残さないようにするのがとても効果的です。例えば、壁面等に飛び散った水滴は水切りなどを用いて除去し、バスタブにお湯を張りっぱなしにするときは湯気が逃げないようにふたをします。そして換気は、常設の換気扇があれば常に回しておくのがいいでしょう。窓を開ける場合には注意が必要です。大きく開け放すのではなく、5センチほど開ければ十分です。大きく開け放すと、外部で浮遊しているカビを受け入れることになってしまいます
 水まわりは住居の中でも特にデリケートな空間であるため、清潔に保ちたいものです。そのためには正しく清掃を行い、日々正しい湿気対策を施すことが必要です。