〈カビコラム13〉カビの侵入 -なぜカビがはびこるのか?

建物内にはびこるカビは、目に見えるまで生育したり、臭いを発したりしたときには、すでに広範囲まで広がっています。これからの季節、暖かくなり湿度が高くなるにつれて本格的にカビのシーズンが訪れ、室内だけではなく室外などにも繁殖し、少し目につくだけだったものが手がつけられないほど広がってしまうこともあります。

◆カビは外部からやってくる!?

カビは約5〜10μmほどの目に見えない大きさで存在しています。そのため、長い間存在し、増殖したあとでなければ目で確認することができません。事業場内や居住空間内で繁殖を目にすると、そこが発生源と思われがちですが、もともとカビは、土中で生活しています。つまり、外部から引き入れてしまっていることも考えなければいけません。土中を掘り起こしたことで、カビ菌が空気中に放出され、風に乗って飛んできます。

近年では、空調機器に高性能なフィルターなどが採用されるようになり、吸排気が厳格に設計された施設などでは、その効果が発揮されています。

一方で、一般的な生活をしていれば、給気がどのように行われているかも不明確であり、窓を開放していればなおさらカビ菌の侵入を許してしまいます。なかには、隙間が存在する箇所もあるかもしれません。通常の施設では、外気の受け入れを完全に管理することは不可能に近いと考えられます。

もう一つの侵入経路は、行き来する人とものです。外気の受け入れを完全に封鎖をしたとしても、外部からきた人に付着していたり、搬入されるものに付着していたり、そういったことも考えられます。

◆カビの侵入を防ぐルール決め

このように、カビ菌は、飛散して侵入してくる厄介な性質もあれば、他にもあらゆる侵入経路が存在しています。医療福祉などの施設や食品取り扱い事業場などは、安定した環境づくりを余儀なくされます。そのため、室内環境に変化が起こりにくく、適した温度・湿度状況が揃うことで、侵入したカビ菌の増殖を促すことになります。

もちろん、環境に見合ったフィルターの採用などは、大きな役割を果たしますが、導入しただけで安心せず、その他の侵入を抑えるルールを定める必要があります。例えば、生産工場等の入室時に行われる衣服のローラーがけやエアシャワーなどです。このエアシャワーは、ほこりやゴミなどを取り去るだけではなく、カビ菌なども一緒に振り落としてくれる役割も果たします。ここまでの管理を徹底することが難しい施設であれば、カビのことをよく知り、侵入を極力少なくするルール作りが必要です。また、侵入後を想定し、ほこりや湿度だまりを起こす場所を常に清潔に保つなど、増殖させない努力を取り入れていくことも必要です。