〈カビコラム15〉食品取り扱い施設への侵入リスク①

◆カビの侵入経路

湿度が高く、気温の上がる梅雨の季節は、目に見えるカビが多発し、多くの施設でお悩みが発生しています。「カビがだんだんと広がってきた「色が濃くなってきた」など、多く聞こえてきます。

食品取り扱い施設では、製品の製造や保管に見合った環境を1年中保つことが必要なため、季節関係なくカビの生育を阻止しなければなりません。カビの混入や視覚的なクレームへの回避のため、日々対策を行うことが余儀なくされます。

◆厄介なカビの性質

カビは、生育するまで目に見えないため、どこから侵入しているのかを突き止めることが非常に難しいと言えます。事業場で多く起きている勘違いは、発生源の特定です。よく見受けられたのが、カビの発生している部分を発生箇所と断定し、その部分だけの除去を行い改善できたと考えてしまうのです。HEPAフィルターなどの利用により、クリーンな外気を取り入れているため、「外部からの侵入はない」と断定してしまうと、このパターンに陥ります。

ましてや、カビが目視できる状態は、時間をかけて生育した姿ですから、必ずしも目視で発見できた場所が発生源であるとは言い切れません。そのため、可能性のある侵入経路を把握することがカビ抑制の第一歩になります。

カビの侵入経路は複数考えられます。1つ目は、やはり外気の取り入れ口です。通気口や、窓の開閉による換気を行う際は、そこから侵入できることを考えなければなりません。2つ目は、製品原料や梱包資材などからの侵入が考えられます。搬入と同時に持ち込まれる恐れを考えなければなりません。そして3つ目が、作業者からの侵入です。作業服や作業靴に付着したカビが、入室とともに侵入します。

カビはあらゆるシーンで外部から侵入してくるため、目の前のカビを除去するだけでは根本的な改善には至らないケースが多いと考えられます。

新たなカビが侵入してくることを止めなければ、増殖条件の湿気と温度がそろった場所で何度も確認できるようになってしまいます。取っても、取っても生えてくるカビと一度しっかり向き合い、リスクを軽減していくことが必要なのです。